TexStudio日本語設定(MacでもOK)

TeX

TexStudioで日本語を出力する設定方法を書きます。
以前Windowsでも似たようなことをしたがMacで同じことをしたらうまくいかなかったのでMacでの設定についてもまとめます。

日本語を設定していないと現れるエラー

TeXStudioをインストールして、日本語設定をしていない状態で、日本語を含んだTeXファイルをコンパイルしようとすると次のようなエラー文がでる。

「Unicode character あ (U+3042) not set up for use with LaTeX. 」

またドキュメントクラスをjarticleやjsarticleでコンパイルすると次のようなエラー文が表示される。

「The font size command \normalsize is not defined: there is probably something wrong with the class file. \begin{document}」
「This file needs format `pLaTeX2e’ but this is `LaTeX2e’. \NeedsTeXFormat{pLaTeX2e}」

TeXエディタで起こるこの手のエラーは、多くの場合、日本語に対応したlatexを設定していないことが原因となっている。
(TeXworksなどの他のエディタでもよく起こる)

デフォルトで設定されているlatexのコンパイラは日本語に対応していないので、コンパイラを日本語対応の「platex」に設定しよう。

補足. ちなみにlatexには色々と種類がある。TeX本来はdviを経由してpdfを出力するが、直接pdfを出力するpdflatex、最近だとLuaTeXとかその日本語版のLuaTeX-jaなどがある。これらの違いについては、以下のサイトで詳しく解説されている。この記事ではplatexに設定する方法を紹介するが、他の日本語対応したコンパイラでも設定可能かもしれない
自分がどのLaTeXを使ってるか知りたい話

基本の日本語設定

まずは「オプション」から「TeXstudioの設定」を開く。
(Macの場合は画面上部の「TeXstudio」から「環境設定」を開く。)

設定ウィンドウの中で次の3箇所を変更する。

TeXstudioの設定(環境設定)において

①コマンド → LaTeX欄 :「latex」を「platex」に、「-src」を「-synctex=1」に変更

②ビルド → ビルド&表示 :「DVI->PDFチェーン」に変更

③ビルド → 規定のコンパイラ :「LaTeX」に変更

①について
 デフォルト:latex -src -interaction=nonstopmode %.tex
 修正後:platex -synctex=1 -interaction=nonstopmode %.tex 
画像はMacですが、windowsだと「latex」の部分が「latex.exe」となっていると思うので、「platex.exe」とする。

変更点の解説
まず、日本語対応のpLaTeXを使えるようにするためにlatexコマンドを①のように変更する。このとき、「既定のコンパイラ」がデフォルトだとpdflatexになっているので、③の変更を加えて、①で変更したコードを使うように指示する。
デフォルトのpdflatexはdviを経由せずに直接pdfを出力するので、「ビルド&表示」は「コンパイル&表示」がデフォルトになっている。一方でpLaTeXはdviを作成するコンパイラで、そののちにpdfを作成する必要があるので②の変更を入れる。

①の「-synctex」への変更は日本語設定とは直接関係がないが、必ず変更しておくべき。これを入れないと、SyncTeX(ソースエディタとPDFビューワを相互ジャンプできる便利な機能)が使えなくなる。(参考:TeXstudioのビューワで右クリックしても「ソースへ移動」ボタンが表示されないとき【SyncTeX】

Windowsであればここまでで日本語設定は完璧です。Macでは次節のように追加で対処する問題があるが、ここまでは同じように設定する必要がある。

ここまでの参考サイト
TexStudio,TeXmakerの利用
TeXstudioのビューワに日本語を表示させる

Macでの追加設定

Macでも、上記の設定で日本語のコンパイル自体はできるようになり、一応PDFも問題なく作成される。実際プレビューなどのPDF閲覧ソフトでPDFを表示すれば日本語も表示される。

しかし、MacのTexstudioの内部ビューアでは日本語が消えてしまう。

内部ビューアで日本語を表示するには、poppler-dataというファイルを配置する必要がある。
次の①〜③の手順に従ってpoppler-dataを配置できる。

①poppler-dataを配置するフォルダを調べる。
②poppler-dataをダウンロードする。
③poppler-dataを配置する

①poppler-dataを配置するフォルダを調べる。

ターミナルで行うやり方

まず以下のコマンドをターミナルで動かして、poppler-dataを配置するフォルダを調べる。

$ strings -a /Applications/texstudio.app/Contents/Frameworks/libpoppler.*.dylib | grep poppler

コードのメモ:strings でバイナリファイルから読み取り可能な文字列を読み出す。
-a はstringsのオプションで対象ファイルの全ての部分を意味する。
grebコマンドは指定した文字列を含む行を出力する。greb popplerで「poppler」を含む文字列を検索している

コマンドの「*」となっている部分にはバージョンによって異なる数字が入るので、*で任意の状態にしてファイルにアクセスするとよい。最新版(2023年10月時点)だとファイル名は「libpoppler.130.dylib」となっている。

上のコマンドを動かすと最新版だと次のように返ってくる。

popplerfH
popplerfont
/usr/local/share/poppler

重要なのは3つ目で「/usr/local/share/poppler」がpoppler-dataを配置すべき場所になる。
この場所はtexstudioのバージョンによってコロコロ変わるので注意する。ちなみに数年前のバージョンだと「/usr/local/Cellar/poppler/0.84.0-texworks/share/poppler」とかだった。

ターミナルを使いたくないとき

上の方法で配置すべき場所が分かったら、ここは飛ばしてもよい。②へ進む。
ターミナルの使い方がよく分からなく不安だとか、何をやっているのか実感が実感が湧かないという方は、対象のファイルをmiなどのテキストエディタで開いてみるという方法もある。

Finderを開く→「移動」→「フォルダへ移動」で「/Applications/texstudio.app/Contents/Frameworks」を入力。 libpoppler.XXX.dylibというファイルをmiで開く。(XXXにはバージョンによって異なる数字が入る)

補足:バイナリファイルなのでテキストエディットでは開けない。他にもバイナリファイルが開けるエディタならなんでもよい。バイナリファイルなので開いても数字だらけだが、miなら可読部分を文字で表示してくれる

ファイルを開いたら「poppler」で検索をかける。以下の画像のようにpopplerをおくべき場所(青線部分)が検索にひっかかる。
※上書き保存などをするとファイルが壊れる可能性があるので、くれぐれもファイルを変更しないように。

②poppler-dataをダウンロードする。

propplerの公式サイトからpoppler-dataをダウンロードする。
最新版(2023年10月時点)は「poppler-data-0.4.12.tar.gz」

ダウンロードしたらダブルクリックしてtarファイルを解凍しておく。

③poppler-dataを配置する

①で調べた場所(/usr/local/share/poppler)にpopplerという名前のフォルダがないので、同じ名前のフォルダを作成する。
移動するには、Finderをクリックして、「移動」→「フォルダへ移動」で「/usr/local/share」を入力する。そこに「poppler」という名前のフォルダを作ればよい。
ここからは管理者権限が必要になるのでmacのユーザーパスワードなどを求められる。問題はないので入力して先に進む。

作成したフォルダに、②で解凍したpoppler-dataの中身のファイルを全て移動またはコピーすれば完了。

これでtexstudioを再起動すれば、内部ビューアに日本語が表示される。

設定は以上。

全てターミナルで行いたい場合

上記②、③の作業を全てターミナルで行いたければ、次のようにしてもよい。ただしバージョンによってpoppler-dataを配置すべき場所が変わる可能性があるので、①で調べた場所に適宜変更して用いて欲しい。

$ cd ~
$ curl -kO https://poppler.freedesktop.org/poppler-data-0.4.12.tar.gz
$ tar xvf poppler-data-0.4.12.tar.gz
$ sudo mkdir -p /usr/local/share/poppler
$ sudo cp -pR ~/poppler-data-0.4.12/* /usr/local/share/poppler

コードのメモ
cd ~:ホームディレクトリに移動。(cdはchange directoryの略。~は何かの略ではなく、そのまま使う。)
curl -k0:curlは指定したURLからファイルをダウンロードする。-0オプションはリクエスト先の名前でファイルに保存。-kオプションはSSL証明書のエラーをスキップする。
tar xvf:tarファイルを展開(オプションxvfの意味は調べてない。)
sudo:管理者権限で実行
mkdir:ディレクトリを作成
cp -pR:ファイルをコピーする。(オプションpRの意味は調べていない)

蛇足:このコードは元々、下記の引用文を真似して書いたものなのだが、引用元のサイトはなくなってしまっている。

これだけで英語や数式は問題なくコンパイルできるようになるのですが、日本語の文字化けを直すのに結構苦労しました。この文字化けを直すためにpoppler-dataというファイルを配置すればいいのですが、その場所を以下のコマンドで確認します。
$ strings -a /Applications/texstudio.app/Contents/Frameworks/libpoppler.??.dylib | grep poppler
この後結果が出力されるのですが、
/usr/local/Cellar/poppler/0.57.0-texworks/share/poppler/ColorProfiles/
/usr/local/Cellar/poppler/0.57.0-texworks/share/poppler
%Produced by poppler pdftops version: {0:s} (http://poppler.freedesktop.org)
という風に出力されているかと思います。重要なところはおく場所ですが、マーカーしておきました。
ここです。/usr/local/Cellar/poppler/0.57.0-texworks/share/poppler
以下のようにコードを実行して日本語表示に成功してください。
$ cd ~
$ curl -kO https://poppler.freedesktop.org/poppler-data-0.4.8.tar.gz
$ tar xvf poppler-data-0.4.8.tar.gz
$ sudo mkdir -p /usr/local/Cellar/poppler/0.57.0-texworks/share/poppler
$ sudo cp -pR ~/poppler-data-0.4.8/* /usr/local/Cellar/poppler/0.57.0-texworks/share/poppler
TeXstudioの使い方とか、使いやすさの記事もおいおい書いていきたなと思ってます。

参考:MacにTeXstudio(2017版)の環境を構築し、日本語入力出来るようになるまで​(https://saisyojyugyo.com/tex-studio-on-mac リンク切れ)

その他の参考になるサイト
組み込みの PDF ビューアに日本語を表示させ​る(TeX wiki)

その他どうでもいいこと(過去の迷走してたときの記述)

もともと他のサイトで見つけた上の引用文のコードを使って、poppler-dataの置き場所を調べていた。2020年9月:OSを更新したとき、おそらくTeXstudio自体を新しくしたせいで、日本語の設定をもう一度することに。

その際、strings, grebコマンドで検索した際、「invalid active developer path」とエラーが出てしまうようになったので、Applications/texstudio.app/Contents/Frameworks/にあるlibpoppler.??.dylibファイル(??には数字が入ります。バージョンによって異なるかもしれませんが最新版ではlibpoppler.94.dylib)をテキストエディタで開き、「poppler」という文字列を検索した。「/usr/local/Cellar/poppler/0.84.0-texworks/share/poppler」などと書かれている部分がproppler-dataファイルを置く場所。最新版(2020年9月)だと上の引用とちょっと異なるので検索で場所を確認する必要がある。

前節の引用文のコードだと、色々変わるとなんだかうまくいかない。結局この記事の①に書いたコードのように*を用いて任意の形にしてファイル名を指定するのが柔軟性があってよさそう。

コメント

  1. 藤田健太郎 より:

    こんにちは
    現在、上手く日本語表示ができていないのですが、どのようにしたら良いか具体的に教えていただけないでしょうか?
    よろしくお願いいたします。

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