プレプリントサーバー「arXiv」(https://arxiv.org)へ論文を投稿する方法を書きます。
初めての人はアカウント作成から
初めての場合はまずはアカウントを作成します。トップページ右上の「log in」 ボタンを押し、ログイン画面の下にある「Register for the first time」ボタンを押せばアカウント作成画面に移れます。

.

E-mailとユーザー名などを入力して仮登録したのちに、アドレス認証のメールが届くので、指示通りに作成します。
注意して欲しいのが、E-mailを入力する欄が1つしかなく、よくある「同じアドレスを入力してください」という確認用の入力欄がないので、ここでE-mailアドレスを入力し間違えると、アドレスの認証ができず、運営に問い合わせる必要がでてきてしまうので面倒なことになります。
投稿の仕方1 – Start
ログインしたらユーザーページの「START NEW SUBMISSION」をクリックします。
■Verify Your Contact Information
自身の所属機関やメールアドレスの情報が正しいか確認し、「I certify that the above information is correct」にチェックを入れます。所属などに変更があった場合は「Change User Information」から修正します。
■Submission Agreement
投稿の規約を読んで問題がなければ、「I have read and agree to the Instruction for Submission」と「By submitting to arXiv I have read and accept the Submission Terms and Agreement」にチェックを入れます。
■Authorship
自分が論文の著者であれば「I am submittiong as an author of this article」にチェックを入れます。arXivは著者でない代理人でも投稿することができます。その場合は「I am not an author…」にチェックを入れます。
■License Statement
arXivにどこまで論文の著作権を付与するかを選択します。よくわからなければ、「arXiv.org perpetual, non-exclusive license」を選択することをおすすめします。以前までこれは投稿するのに必要なarXivに与える最低限の権限でした。最近(2021年3月)ではこのLicense Statementの項目に少し変更があり、「CC Zero: No Rights Reserved」というものが加わりました。この項目は論文をいわゆるフリー素材にするようなもので、著者は一切の著作権を放棄し、その論文の2次使用をどのような形でも認めることになります。
■Archive and Subject Class
論文を投稿するSubject Class(主な分野名)を選択します。ここで選択したものをPrimary Classと呼んだりもします。ここでは論文に最も見合う分野名を1つ選択することになりますが、プロセスを進めていくと後でCross listという関連分野も選択できるようになります。
ここまで終わったらcontinueをクリックして先に進みます
投稿の仕方2 – Add files, Process
用意したTeX fileや画像ファイルをアップロードします。ちなみにTeXで作成したPDFファイルはそのままアップロードすることができません。アップロードしようとすると「これはTeXで作成したPDFファイルです」といったエラーがでます。
必要なファイルをアップロードしたら「Continue: Process Files」をクリックします。クリックするとTeXのコンパイルが始まります。
コンパイルが正常に終了すると「Preview your paper」で実際に投稿されるPDFファイルを確認できます。自身のTeX環境とarXivのTeX環境で多少の違いがある可能性があるので、おかしなところがないか確認しておきましょう。特に画像やPicture環境, Tikz周りでは時々うまく出力されないことがあるので注意してください。
投稿の仕方3 – Metadata
論文情報を記入します。タイトル、著者、アブストラクトなどを記入していきます。タイトルやアブストラクトでは$マークで挟めば数式を出力することもできます。著者名はFirst nameを先にFamily nameを後に書きます。複数著者がいる場合にはカンマ「,」もしくは「and」で区切って書きます。例えば「Keisuke Honda, Ichiro Suzuki, Taro Yamada」などです。

Comment欄には投稿ページに表示されるコメントを書きます。ページ数や画像の枚数を記載するの一般的です。
他は空欄でも大丈夫ですが、論文がどこかの雑誌に掲載された場合にはJournal referenceの欄にどこにアクセプトされたか記載しておくと、読者にとって便利だと思います。
投稿の仕方4 – Preview
最後に投稿画面に表示されるプレビューに問題がないかを確認します。
「Categories」ではCross listを選択できます。Primary Class以外に関連した分野名を選択してください。
できたら最後に「Submit」ボタンを押します。これを押すと投稿が完了して管理画面に戻ってきます。投稿した論文が「Article Submissions」というところに表示されているはずです。Statusは初めは「Processing」(投稿が完了してarXivで解析中)ですが、しばらくすると「Submitted」(準備が完了して、掲載待ちの状態)になります。
登録したメールアドレスにも確認メールが届いているはずで、掲載予定の日時などが確認できます。
関連記事
arXivへの投稿の仕方について(丁寧に解説されていて非常に参考になります)
コメント
初めてで途惑う者が勇気を与えられるサイトに思えました。社会的に有益に思います。
Arxiv への投稿が身近に感じられたのも好感を持ちました。
投稿を試みましたが、2024.04の時点では Endorsementという制度で、 最近3カ月以前の5年間に4つ以上の投稿実績のある人の紹介が無いと投稿できない様です。
結局、研究機関とつながりがないと、駄目みたいですね。
already retiredの身でlife workとしてかなり気を入れた書いた論文なのだけれど、どうしたものか。。。 net時代でも閉鎖性の壁は厚いか。
そうでしたか。ここ数年でEndorsement制度ができたようですね。おそらく「トンデモ」な論文を排除するためなのでしょう。学会の入会などでも似たような推薦が必要になったりします。ただ5年以内に4つ以上というのは分野によっては割とハードルが高いですね。知人に条件を満たす人がいればよいですが、あとは同じ分野の方にメールか何かで頼むしかなさそうですね。